空気の読めない奴…。土方と沖田は原田の行動に呆れながら、庭に出る。潰れかけた紫音を助け出し、土方は言った。「女が一人じゃ危ねぇ。左之、お前ついでに送り届けろ」その言葉に、沖田が焦る。送り届けろ?寺をねぐらと言う紫音を一体どこに送り届けるのか?何故だかそれを知られたくなかった。だが、土方は紫音の答え子宮內膜異位症ずに沖田の腕を掴み、歩き出す。「土方さんっ送るなら僕が…っ」「あん?そんな格好じゃ駄目だ。血はあらかた流れたが、着替えなきゃな」芹沢の返り血をまともに浴びた沖田は、確かに着物まで血に染まっている。今度は沖田がガックリと肩を落とし、土方に引きずられるように去っていった。「さて、俺らも行くかぁ」いつの間にか復活した原田が紫音の肩を抱く。紫音は困ったように笑った。「無用ですから」スタスタと屯所を後にする紫音を、原田がついていく。ここ数日、芹沢の部屋の天井をねぐらにしていた紫音は何処へ行こうか悩んだ。行く先も決めずに歩いていると、後ろからいきなり衿を掴まれた。「…息止まっちゃうじゃないですか」「なぁ、どこ行くんだよ?」「どこにしましょうね…」「何だそりゃ。決まってねぇなら来い。俺の行きつけに行こうぜ」原田の行きつけと言うからには島原しかない。どのみち着替えを置いているのは、実は屯所である。悩んでいるうちにひょいと担がれてしまった。「原田さんっ何するんですかっ」「お前軽いなぁ。もうちっと太った方がいいぞ。その方が抱きがいがある」「これは担ぐというんです!というか抱きがいなんて必要ありません!」「はっはっは、そんな事言うなって」まだ町は寝静まっているというのに二人の声は大きい。バタバタと暴れる紫音だったが、やがて疲れたのかパッタリと力が抜けた。かと思えば突然暴れる。そうこうする間に、原田の行きつけという島原の遊郭『杏屋』に着いてしまった。「あらまぁ、原田はん「女将、今日は女はいいから一部屋貸してくれよ。あ、ついでに湯と手ぬぐいと着物、頼んだぜ」「また注文が多いどすなぁ。わかりました。お二階の奥の部屋が空いてますさかい、使っておくれやす」恰幅の良い女将に言いたい事だけ言って、原田はドカドカと部屋に向かった。部屋に着いた原田は、用意されている布団に紫音を投げ出し、その上に馬乗りになる。突然の行為に紫音は意味がわからずうろたえた。「何するんですか!?」「俺さぁ、人殺したりすっと興奮しちまうんだよ。で、いつも女抱いて高ぶった気持ちを鎮めるんだ」紫音の髪に手を入れて、ずいと顔を近づける。「初めて会った時から、鳴かせてみてぇと思ってたんだ」普段からは想像出来ない程の色気を発しながら、原田は紫音の首筋に顔を埋める。焦る紫音は近づいてきた女将の気配にほっとし、助けてもらおうとしたのだが…「原田はん、お持ちし…あら、堪忍え」「おう、置いといてくれ」女将は気にもしない風に笑い、出ていってしまった。女将さーんっっっ聞こえない紫音の心の叫び。そんな紫音に気付いているのかいないのか、原田は細く白い首筋に吸い付いた。ビクリと震える紫音の顔は真っ赤で、何とか回避しようと必死に考える。土方の時とは違い、攻撃しようにも足はうまい事固定されている。手は使ってしまうと原田の未来を見てしまいそうで使えない。考えに考えていると、原田の動きが止まっている事に気付いて、目を開けた。見えたのはニヤニヤ笑う原田。