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思えば、前にも
publié le 04/04/2023 à 19:24 |
思えば、前にも似たような夢を見たことを思い出す。確かその時は武士になるかどうか迷っている時だった。
そして 植髮 今回は江戸へ行くかどうか迷っている最中でのこれだ。
何かの暗示なのだろうか。
「江戸に行けば、何かが分かるのだろうか……」
桜司郎がそうポツリと呟いた瞬間、まるで肯定するかのように刻印が疼いた。
やがて、人々が起き出し朝餉を広間で摂った後、桜司郎は沖田を呼び止める。そして人気の少ない場所へ誘った。
「沖田先生……。私、江戸へ行きます」
「そうですか……。分かりました」
桜司郎の中でどのような心境の変化があったのかは、沖田は敢えて触れないことにする。弟分の決意を応援すべきだというのに、離れていってしまうことへ淋しさを感じる自分に苛立った。
そして薄く口角を上げる。乾いたような笑みに、桜司郎は胸にざわつきを覚えた。
「沖──」
「おーい、総司いるかー?」
桜司郎が口を開こうとしたその時、奥から原田が沖田を探す声が聞こえた。沖田は返事をすると、そちらへ向かっていく。
取り残された桜司郎は目を伏せ、その場に立ち尽くした。やがて数日が経ち、ついに江戸へ立つ日が来る。
向かう幹部隊士は、土方、斎藤、伊東の三名。そこへ桜司郎も追従する形となった。
急いで えた旅装束に身を包む。支度は山野と馬越が手伝ってくれた。
「江戸ですか……、京とは違った華が有りそうですね」
桜司郎の頭に笠を乗せながら、馬越は目を細める。その横で山野がニヤニヤと口元を緩めた。
「江戸の女はどうなんだろうな〜。吉原に行ってみたいや。何処の女でも俺の手に掛かりゃ……」
「何言ってるの、遊びに行くんじゃないんだよ」
桜司郎は呆れ顔で山野を見ると溜め息を吐く。冗談だ、と山野は舌を出した。
そこへ永倉が顔を出す。
「よう。ちっと鈴木君と話してえことがあるんだ。済まねえが、お前らは正面で待っててくれねえか」
人懐こい笑みを浮かべ、二人を追い出すと永倉は途端に真剣な表情になった。
「……君も江戸へ行くだろう。そこで、一つ折り入って頼みがあんだ」
永倉には土方らの江戸行きに際して、懸念事が一つあった。
「頼み、ですか。私に出来る事なら……」
「有難う、そう言ってくれると思ったぜ。実はな、平助なんだが──」
永倉は声を潜めて静かに話し始める。
北辰一刀流を修める藤堂は山南、伊東と同門だが、その繋がりで山南と藤堂は大層仲が良かった。沖田と同様に山南を兄貴分として慕っていたのである。
だが、その死は藤堂には土方の命で知らされていなかった。恐らく土方が直接言うのだろうが、不器用な彼の言い方では喧嘩になりかねないと永倉は危惧している。
そこで、どちらかが死体になって帰ってくることが無いように取り成して欲しいと言うことだった。
「成程……。気に掛けるようにはします」
事情を汲み取り、頷いた桜司郎を拝むように永倉は手を合わせる。
「恩に着るッ。斎藤にも言ったんだが、目は多い方が良いと思ってよ。じゃあ、宜しく頼むな」
肩を叩くと、永倉は足早に去っていった。この後は土方にも釘を刺しに行く予定だという。
その背を見送ると、桜司郎は荷物を持って山野や馬越の待つ正面へ向かった。
"Jean-Michel Berille, le responsable des télé-conseillers." |
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