「いい先輩たちだったな」「だな。……つか、この学園、嫌なセンパイって居るのか?絵に描いたようなの生息してんのか?」「期待しているところ済みませんが……流石にカレナが言うほど露骨な人はいないの
照大腸鏡流程は?」「……というか、どんなの想像してるんだ?2人とも」中庭にある時計を確認した所時間は急ぐほどではなかったため、俺たちはのんびりと教室に向かう。他のクラスの生徒たちもばらばらと自分のクラスへ集い始めているため、教室棟に近付くにつれ、人通りは多くなる。流れに乗って廊下を歩き、ハル、エートに続いて俺がBクラスに入る直前に、背後で「あっ」と言う声がした。声と気配から昨日転び掛けたあの生徒、アルスっぽい気はしたが、タイミングが面白かったので此処は無視。ハルが大型犬なら、アルスは愛玩用小型犬だよなぁと思う。弄ると楽しいのは共通。教室の時計を見れば、授業開始5分前。いい時間だ。この世界の時計は、形としては俺の世界とあまり変わらない。読み方も単位もほぼ同じ。ただ時間の上に「帯」と言う単位があり、これが6時間で1帯と呼ばれている。1日内の授業時間や就業時間はこの帯単位で決められていることが多く、この学園も基本授業時間は1帯と定められている。先日俺がやってみたXランクの依頼も、2帯……つまり12時間以内に依頼解決の要請だった。あと面白いのは中身で、時計内の魔石で、この大陸の北にある山に含まれる特異な魔石から放たれる微弱な魔力の波を計測している。俺の世界で言うなら電波時計に近いが、魔石が計測した波形に沿って針を動かすので北の山がなくならない限り止まらない。そのため、この世界の時計はズレることがない。ただ小型にするのが難しく懐中時計や腕時計は高価なので、一般人で携帯可能な時計を持ってる人はあまりいない。ハルは当然持ってるとして、エートはどうだろう。暁でも黄昏でも二つ名持ちには支給されるらしいと噂は聞いたが、真偽のほどは不明だ。ちなみに壁掛けサイズはさして高額ではないため、この学園に限らず、街でも至る所に掛かっていたりはする。そしてその時計が午後の授業開始時間を指すのと同時に、ヨミが教室の扉を開けた。「全員居るか?」ヨミは午前の授業終わりの時のように、ドアを開けたまま、教室に足を踏み入れずに俺たちに声を掛ける。