獅子ヶ城の城下町に建てられた球場は信者がひしめきあっており、その周りは溢れかえった信者達で埋め尽くされていた。野球部幹部の木下藤吉郎は、手勢を使い忙しそうに交通整理に精を出し、野球部教祖の細
HKUE 好唔好金兵衛は、観客席の最も良い場所で意識を失って飾り物のように座っていた。そして、球場の中心では、野球部幹部の甲斐隼人が、特別に据えられた壇(だん)上で、三塁側ベンチのバース大明神に向かい、右手を高々と掲げ、「宣誓ぇ!!甲子園を夢見る野球部一同は、野球の心得にのっとり、正々堂々と戦う事を誓う!!」と、思いつきの言葉を並べ、「これより、第一回野球部地域対抗試合を開催する!!」大集会の開催宣言をしていた。「開催に先立ちまして、野球部のお経斉唱!!」隼人がそう言うと、『六甲おろしに~颯爽と~』佐渡の寒空に、六甲おろしの大合唱が響き渡った。この野球部の集会。隼人の提案で、佐渡の各地域ごとにチーム分けされた、野球大会であった。もちろん、この大会には、楽しそうな事が大好きな隼人も、獅子ヶ城の面々を引き連れチームを作って参加していた。「第一試合!矢崎 対 獅子ヶ城!!」空いているチームが審判をおこない、バットやボールは木を削って作っただけの簡素な道具類である。