それでも戦わなければならないのだ。……皆を、守り抜くために。──ゆっくりと刀を構える。左手の刀は正面に構え、右手の刀は身体に引き付け首元へ持っていく。まだ魔
wechat advertisingが覚醒していなかった幼い頃、あの村の老人にせがんで教えてもらった剣術。二刀流を主体としたその剣術の構えを、何年かぶりに人前でとった。自らの身体に身体強化を施す。身体が銀に淡く発光し始めたのを視界の端に捉えながら、サキカは地面を強く蹴った。僅か一歩で距離を詰め、左手の刀を振るう。彼が刀でそれを受け止めるのを見計らって、右手の平を返し、半円を描くようにして刀を彼の首に向けて振るった。──捌(はち)ノ型・三日月。太刀筋は光の曲線となって、可視化する。弧を描いたそれは、ガイアの使う綱糸と似て非なるもの。それは彼の首を切り裂く。しかしながら、そう簡単に殺られる彼ではない。小さく舌打ちをした彼は、大きく飛び退った。ポタリポタリと彼の首から滴り落ちるのは、赤い鮮血。脈までは傷つかなかったのであろう。出血はごくわずかだ。彼が刀を構えなおす余裕など与えず、追撃する。振りかざした左手の刀を、大きく振り下ろす。──壱ノ型・斬撃。目に見えぬ攻撃は、真っ直ぐに彼のもとへと向かっていく。しかし、彼もサキカと同じように、両手で握る青い刀を、強く素早く振るった。目に見えぬ攻撃同士がぶつかり、地面の砂を巻き上げて、辺りに砂埃が立ち込める。.